はじめに:正しく寝返りできていますか?腰痛と寝返りの深い関係とは
「朝起きると腰がズキッと痛む…」「夜中に寝返りを打とうとして、痛みで目が覚めてしまう…」 そんな経験はありませんか? もしかしたら、そのつらい腰痛や睡眠の質の低下は、あなたが思っている以上に「寝返り」と深く関係しているのかもしれません。
私たちは人生の約3分の1を睡眠に費やしており、その間に無意識に行っている「寝返り」は、実は健康な体を維持するために非常に重要な役割を担っています。特に腰痛をお持ちの方にとっては、この寝返りがスムーズに行えるかどうかが、症状の改善や悪化に大きく関わってくるのです。
しかし、「寝姿勢」や「寝具」については気にされる方が多い一方で、「寝返り」そのものの重要性や、どうすれば質の高い寝返りが打てるのかについては、あまり意識されていないのが現状ではないでしょうか。
この記事では、
- なぜ寝返りが腰痛にとってそれほど重要なのか?(知られざる寝返りのすごい効果)
- 寝返りがうまくできないのはどんな時?(あなたの体や生活習慣に潜む原因)
- どうすればスムーズで効果的な寝返りができるようになるのか?(今日から実践できる具体的な改善の秘訣)
といった疑問に、専門家の視点から徹底的に深掘りしてお答えします。 この記事を読み終える頃には、寝返りの本当の重要性を理解し、腰痛知らずの快適な睡眠を手に入れるための具体的なヒントが見つかるはずです。
なお、腰痛対策の基本となる「正しい寝姿勢」や「最適な寝具の選び方」については、まずこちらの記事『【専門家解説】腰痛と睡眠の悩み解決!正しい寝姿勢・寝具選びの基本』をお読みいただくと、よりスムーズに内容をご理解いただけますので、ぜひ合わせてご覧ください。

なぜ「寝返り」がこんなに重要?腰痛予防・改善における5つの驚くべき効果
特定の寝姿勢を保つこと以上に、睡眠中の「寝返り」がスムーズに行えるかどうかが、腰痛の予防・改善において非常に重要です。健康な人は一晩に20~30回程度の寝返りを打つと言われています 。
寝返りには、以下のような大切な役割があります。
- 体圧分散:同じ場所に体圧がかかり続けるのを防ぎ、血行不良や床ずれを予防します 。
- 血液循環の促進:体の向きを変えることで、圧迫されていた部分の血流を回復させます 。
- 筋肉の緊張緩和とこわばり予防:筋肉を動かし、リラックスさせます 。
- 脊椎のアライメント調整:日中の活動で歪んだ背骨や椎間板の状態をリセットします 。
- 体温調節:布団の中の温度や湿度を快適に保ちます 。
慢性的な腰痛がある人は、この寝返りの回数が少ない傾向にあるという研究結果もあります 。
寝返りが少ないと、腰への負担が増し、朝起きた時の痛みやこわばりの原因となるのです。
椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症、関節炎など既存の腰痛を持つ個人にとって、寝返りができないことは、すでに過敏になっている構造への長時間の負担を意味します。
以前に腰痛がなかった個人でも、寝返りをしないことによる持続的な非対称的負荷と筋肉のこわばりは、最終的に新たな筋骨格系の痛み、特に腰や首・肩の痛みの発症につながる可能性があります。

要注意!寝返りがスムーズにできない人の身体的特徴と生活習慣
「自分はもしかしたら、うまく寝返りができていないのかもしれない…」そう感じた方もいらっしゃるかもしれませんね。スムーズな寝返りができない背景には、実は、加齢に伴う筋力低下や関節の硬化以外にも、様々な身体的な特徴や、日頃の生活習慣が隠されています。ここでは、寝返りを困難にしてしまう主な5つの原因を深掘りし、ご自身の状態と照らし合わせながらチェックしていきましょう。
体幹筋力の低下(腹筋・背筋など)が寝返りを困難にする
寝返りは、体をひねり、持ち上げるというダイナミックな動きです。このとき、お腹周りの腹筋(特に体をひねる腹斜筋)や背筋といった「体幹の筋肉」がエンジンとなり、体を安定させながらスムーズな回転をサポートしています。しかし、運動不足や加齢などによってこれらの体幹筋力が低下すると、体を支えたり、持ち上げたりする力が弱まり、寝返りの際に余計な力が必要になったり、動きがぎこちなくなったりします。
結果として、寝返りの回数が減ったり、寝返りを打つこと自体が億劫になったりしてしまうのです。
背骨・股関節・肩関節の柔軟性不足がスムーズな動きを妨げる

スムーズな寝返りには、体幹の筋力だけでなく、体をしなやかに動かすための「関節の柔軟性」も不可欠です。特に、背骨(特に胸椎の回旋)、股関節、肩関節の動きが硬くなっていると、体をスムーズにひねることが難しくなります。
例えば、背骨がガチガチに固まっていると、体全体を一つの塊のように動かさなければならず、寝返りが大きな負担になります。
また、股関節や肩関節の可動域が狭いと、手足を効果的に使って体を回転させることができず、ぎこちない動きになってしまうのです。
長時間のデスクワークや運動不足など、現代生活に潜む寝返り能力低下の罠
現代の私たちの生活習慣の中には、知らず知らずのうちに寝返り能力を低下させる要因が潜んでいます。代表的なものが、長時間のデスクワークやスマートフォンの使用です。
これらは猫背などの不良姿勢を招きやすく、背骨や肩甲骨周りの筋肉を緊張させ、柔軟性を奪います。
また、日常的な運動不足は、体幹筋力の低下や関節の可動域制限を進行させます。こうした積み重ねが、夜間のスムーズな寝返りを妨げ、結果として腰痛のリスクを高めてしまうのです。

痛みや不快感が無意識に寝返りを抑制してしまう悪循環
すでに腰痛や肩こりなどの痛みを抱えている場合、その痛みが寝返りをさらに困難にするという悪循環に陥りがちです。
寝返りを打とうとしたときに痛みを感じると、体は無意識にその動きを避けようとします。
また、「動くと痛いかもしれない」という恐怖心から、寝ている間も体をこわばらせ、できるだけ動かないようにしてしまうことも。その結果、寝返りの回数が減り、体圧が同じ場所にかかり続けることで血行が悪化し、さらに痛みやこわばりが増してしまうのです。
寝返りを妨げるNG寝具とは?(マットレスの硬すぎ・柔らかすぎなど)
毎晩使う寝具も、寝返りのしやすさに大きく影響します。例えば、柔らかすぎるマットレスは体が沈み込みすぎてしまい、寝返りを打つ際に体を持ち上げるのが大変になります。逆に、硬すぎるマットレスは、体との接触面で圧迫感が強くなり、体がリラックスできず、スムーズな動きを妨げることがあります。また、重すぎる掛け布団や、体にまとわりつくような素材の寝間着なども、寝返りの妨げになることがあるので注意が必要です。
今日から実践!スムーズな寝返りを取り戻すための5つの秘訣
寝返りがスムーズにできない原因が見えてきたところで、ここからは具体的な改善策について見ていきましょう。「もう年だから…」「体質だから…」と諦める必要はありません。日々のちょっとした工夫やケアで、寝返り能力を高め、快適な睡眠を取り戻すことは十分に可能です。ここでは、今日からすぐに実践できる5つの秘訣をご紹介します。
秘訣1:寝返りしやすい「寝具環境」を徹底的に見直す
スムーズな寝返りのためには、まず体を預ける寝具環境を整えることが不可欠です。
マットレス選びで最も重要なのは、適度な硬さと反発力。体が沈み込みすぎず、かといって硬すぎて体が痛くなることもない、自然な寝姿勢を保ちつつ、軽い力で体を回転させられるものが理想です。高反発素材のマットレスや、体圧分散性に優れたポケットコイルマットレスなどがおすすめです。
枕の高さや素材も寝返りに影響します。高すぎる枕や低すぎる枕は首への負担だけでなく、寝返りの際の頭の動きを不自然にし、スムーズな回転を妨げます。横向きになったときにも首がまっすぐになる高さを選び、頭が沈み込みすぎない適度な硬さの素材が良いでしょう。
意外と見落としがちなのが寝間着(パジャマ)の素材です。体にフィットしすぎるものや、滑りが悪い素材は、寝返りの際にまとわりついて動きを妨げることがあります。吸湿性・通気性が良く、少しゆとりのある、滑りの良い天然素材などがおすすめです。

秘訣2:1日5分!「背骨の柔軟性」を高める
既につらい腰痛があると、寝返りを打つのが困難になっている場合も多いです。
実は、日頃から筋肉の柔軟性を保っている人は、筋肉が硬直したり血行が悪くなったりする影響を、ある程度は受けにくい可能性があります 。柔軟な筋肉は、硬い筋肉に比べて、同じ姿勢が続いたとしても、こわばりや痛みに至るまでの「猶予」があると言えるでしょう。
寝返り能力を高めるには、しなやかな脊椎と、回旋能力が必要です。特に「背骨の柔軟性」が落ちると、正しい姿勢に戻すことができません。背骨の柔軟性とは、下記の相反する3つの力を同時に持てる柔軟性です。

・首を後ろに引く力
・胸を張って肩甲骨を寄せる力
・お腹を凹ます力
(腰が反ったり、お尻は突き出さず)
この柔軟性が高まるほど、脱力してリラックスしても自然と良い姿勢をとれます。「背骨の柔軟性」を高めることは、寝返りを打つのに大切な「しなやかな脊椎」の土台です。
こちらの動画で解説している、背骨の柔軟性を高める体操をこまめに習慣化しましょう。猫背矯正にも効果的です。
秘訣3:日中の「良い姿勢」が夜の寝返りを変える!

夜間の体の状態は、実は日中の過ごし方と深く関係しています。長時間悪い姿勢で過ごしていると、特定の筋肉が緊張し続けたり、逆に弱化したりして、体のバランスが崩れてしまいます。この体の歪みやこわばりが、夜寝ている間のスムーズな動きを妨げ、寝返りを困難にするのです。
デスクワーク中は、骨盤を立てて深く椅子に座り、背筋を自然に伸ばすことを意識しましょう。
スマートフォンを見る際も、画面を目の高さに近づけ、首が前に突き出ないように注意が必要です。
正しい座り方、立ち方を意識するだけでも、体への負担は大きく変わり、結果として夜の寝返りの質向上にも繋がります。
ただし、無意識のうちに悪い姿勢をとってしまっている方がほとんどですので、良い姿勢を作るための矯正体操を行いましょう。
・反り腰を矯正する体操
・体の左右差を矯正する体操
秘訣4:寝返りに対する「意識改革」とリラックス法
特に腰痛などを抱えている方は、「寝返りを打つと痛いかもしれない」という恐怖心や、「あまり動かない方が良いのでは」という無意識の思い込みが、かえって体を緊張させ、スムーズな寝返りを妨げていることがあります。 まずは、「適度な寝返りは体にとって良いことだ」という意識を持つことが大切です。そして、寝る前には心身ともにリラックスする時間を作りましょう。ぬるめのお風呂にゆっくり浸かったり、好きな音楽を聴いたり、深呼吸や軽い瞑想を取り入れたりするのも効果的です。体がリラックスすることで、無意識下での自然な寝返りが促されやすくなります。
秘訣5:生活習慣の見直し(適度な運動、水分補給など)
健康的な生活習慣は、巡り巡って寝返りの質にも影響します。 適度な運動習慣は、体幹筋力や柔軟性を維持・向上させ、寝返りしやすい体づくりの基本です。ウォーキングやストレッチなど、無理なく続けられるものから始めましょう。 十分な水分補給も大切です。水分が不足すると、筋肉や関節、椎間板の柔軟性が失われやすくなります。 また、バランスの取れた食事を心がけ、筋肉や骨の健康を保つことも、間接的にスムーズな寝返りをサポートします。これらの基本的な健康習慣を整えることが、質の高い睡眠と快適な寝返りの土台となるのです。
以上、個人の寝返り能力を高める秘訣を紹介しました。しかし、どれほど柔軟性があっても、長時間同じ姿勢でいれば、体圧による血行不良や筋肉への負担は避けられません 。特に、寝返りが全く打てないような状態が続けば、初期の柔軟性の高さだけではカバーしきれない影響が出てくるでしょう。根本的には、やはりスムーズな寝返りを確保することが最も重要です。
表:個人の寝返り能力に関わる要素のまとめ
要因/特性 | ラクに寝返りができる体の状態 | 寝返りがしにくくなる体の状態 |
体幹筋力 | 十分な腹筋、背筋、腹斜筋の強さ。体幹の安定性。 | 体幹筋力の低下、特に腹斜筋や深層安定筋の弱さ。 |
脊椎の柔軟性 | 良好な胸椎・腰椎の回旋可動域。しなやかな脊柱。 | 脊椎の硬さ、特に回旋制限。猫背や反り腰などの不良姿勢による影響。 |
股関節・肩関節の可動域 | 股関節と肩関節の十分な多方向への動き。 | 股関節や肩関節の可動域制限(例:変形性関節症、五十肩など)。 |
筋肉の弾力性 | 全身の筋肉がしなやかで伸長しやすい。 | 筋肉の短縮や過緊張、筋膜の癒着。 |
神経筋協調性 | スムーズで協調した体の動き。良好な固有受容覚。 | 動作のぎこちなさ、協調運動障害(例:パーキンソン病など)。 |
年齢層 | 若年~中年期では一般的に問題なし。 | 高齢者では筋力低下、関節可動域制限、基礎疾患などにより困難になる傾向。 |
日中の姿勢 | バランスの取れた良い姿勢。 | 長時間の座位、猫背、反り腰などの不良姿勢。 |
痛みがおさまっても進行している背骨のすりへり:根本的な原因へのアプローチ
ここまでご紹介したセルフケアは腰痛を悪化させないための基本です。多くの人は「腰痛がおさまる=治った」と安心しがちです。実は痛みがおさまっても、背骨一つ一つがズレたままだと、年齢以上に関節への負担がかかり続け、その疲労が蓄積し続けることで、腰痛の再発、または股関節や膝など別の部位にいずれ痛みが出る原因となってしまいます。
医師推奨:すり減らない体の使い方が自然とできるようになる脳内矯正®とは
中村接骨院では、独自の「脳内矯正®」という国際特許取得のセルフ背骨矯正により、このような根本原因にアプローチします。
私たちの体は、脳からの指令によってコントロールされていますが、無意識のうちに体に負担をかける動きや姿勢が常態化してしまうことがあります。これが、体の歪みや筋肉の過緊張、関節の可動域制限を引き起こし、結果として全身のコリや痛み、不調の原因となるのです。
「脳内矯正®」では、背骨一つ一つを一時的に整えるだけでなく、この脳の認識システムに働きかけ、体が本来持っている効率的で負担の少ない正しい動きのパターンを「脳に再学習させる」ことを目指します。これにより、意識しなくても自然とバランスの取れた体の使い方ができるようになります。毎日の関節への不必要な負担が最小限になることで、腰痛そのものの改善、予防にも繋がります。
内科医のモニター様へのインタビュー動画をご覧ください。
まとめ:スムーズな寝返りをマスターし、腰痛知らずの質の高い睡眠を手に入れよう!
この記事では、腰痛と深く関わる「寝返り」の重要性から、寝返りがスムーズにできない原因、そして今日から実践できる具体的な改善策までを詳しく解説してきました。
スムーズな寝返りは、
- 体圧を分散し、特定部位への負担を軽減する
- 血行を促進し、筋肉の疲労回復を助ける
- 背骨の歪みを整え、体をリフレッシュさせる
など、私たちが快適な睡眠を得て、健やかな体を維持するために欠かせない役割を担っています。
もしあなたが「寝返りが少ないかもしれない」「もっと楽に寝返りを打ちたい」と感じているなら、まずはご自身の寝具環境を見直し、簡単なストレッチから始めてみてください。日中の姿勢を意識し、リラックスして眠りにつくことも大切です。
これらのセルフケアを続けてもなかなか改善が見られない場合や、より根本的な体の改善を目指したい場合は、ぜひ一度、日暮里駅すぐの中村接骨院にご相談ください。専門家の視点からあなたの体の状態を正確に把握し、「脳内矯正®」をはじめとする最適なアプローチで、腰痛改善だけでなく、本来の能力が発揮できる快適な体づくりをサポートいたします。
今日からできることを一つひとつ実践し、腰痛知らずの質の高い睡眠、そしてスッキリとした目覚めを手に入れましょう!
執筆者情報・中村接骨院について
中村接骨院 中村薬 漢方堂
東京都荒川区西日暮里2-51-1オーベルアーバンツ日暮里1F
電話番号: 03-5811-6337 (平日9:00-19:00)
予約方法:電話/WEB予約/LINEからの予約(オンライン診察も対応可能です)
関連情報
◆脳内矯正®についてのプレスリリース
https://prtimes.jp/story/detail/bDzpD3uv5Px
◆脊柱管狭窄症の改善例コラム
https://mbp-japan.com/tokyo/kaokarada/column/5173454
https://mbp-japan.com/tokyo/kaokarada/column/5169962
◆近著『悪い姿勢は天井を見つめて治しなさい』の開発ストーリー
https://prtimes.jp/story/detail/Bq4e3quL2Zb
◆中村弘志のInstagram(ぜひフォローください!)
https://instagram.com/beauty.healthy.kaokarada?r=nametag
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中村弘志プロフィール

中村接骨院 中村薬 漢方堂の代表。子供のころから武道と気功、整体を習得。妹が脊髄損傷し、「一生、車イスだ」と宣言されたことから、「医者が治せないなら、兄の私が治す」と、それまで勤めていた会社を辞め、気功や整体の知識・技術を生かし、妹の治療に専念。その試行錯誤のなかで独自の治療法を生み出し、妹の症状が歩けるまで改善。(現在、2男2女の母となっている)これを機に柔道整復師の国家資格を取得し、接骨院を開業。オリジナルの体操指導やツボ治療などにより、「姿勢が良くなった」「からだの痛みがなくなった」「肌がきれいになった」など、その効果が評判となっている。治療理論で特許意匠などを20以上取得し、テレビや雑誌などのメディアでも活躍。一般社団法人 国際特許医学協会 代表理事ミスユニバース、ミスアースジャパンといったミスコンでの認定講師も歴任。
引用文献
Effect of firmness of mattress on chronic non-specific low-back pain: randomised, double-blind, controlled, multicentre trial
DOI: 10.1016/S0140-6736(03)14792-7
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/14630439